2010年10月1日金曜日

Domaine Bizot(ドメーヌ・ビゾー) ドメーヌ訪問

Domaine Bizot(ドメーヌ・ビゾー) @Vosne-Romanée

本日はジャン・イヴ・ビゾー(Jean-Yves Bizot)さんのドメーヌを訪問。


「ようこそ、いらっしゃい」。お庭のところで笑顔で迎えてくれるジャン・イヴ・ビゾーさん。
「こちらへどうぞ」。小さな部屋に入って、「試飲は樽からでいいかな?」 「もちろんです」
事前のやり取りでは試飲はできないような話を受けていたので、とても嬉しい。
「昨日、収穫が終了して一段落付いたところなんだ」。収穫は20人で5.5日で行ったとのこと。



グラスをいただき、グラスを持って地下セラーへ降りていく。
かまぼこのような半円状の地下セラーにきれいな樽が並んでいる。聞き違いでなければ、セラーはお爺さんの
代に、1920年代に造り、80年ぐらい経っている。
ピペットを洗浄して、樽にピペットを挿してグラスへ注いでいただく。試飲開始


・Bourgogne Chapitre 2007(ブルゴーニュ シャピトル)
 実が詰まっている。果実の甘い香りで甘みの丸い塊から酸がきれいに通る。丸い塊から酸が出る様は刺々
 しく線で出るのではなく丸い甘みに対して、面状の酸が丸い塊の下側1/4辺りに水平に広がっていく。
 とてもボリュームがあり、獣臭、ショコラの風味。樽をローストしたから出た風味、という説明。

・Vosne-Romanée 2009(ヴォーヌ・ロマネ)
 酸が多くなり、果実も豊富。ボリュームは大きいがとても柔らかい。1メートル程度の柔らかい綿飴を
 あまり圧縮せずにふんわりと60センチ程度の柔らかめの球体にしたような印象。
 ボリュームを維持しながら、旨み、渋味が長い時間続く。今飲んでもおいしい。


・Vosne-Romanée les Jachees 200X(ヴォーヌ・ロマネ レ・ジャシェ)
 低重心で落ち着きがあり、とても甘味の要素が豊富で、ほわっと包まれるような印象はとても上品。
 軽やかでかわいい印象も受け、甘味も豊富だが、酸が強い。

 「酸のボリュームがどんどん増えてきますね」というのに対して、「酸が豊富になるのはよく言われるんだ
  けど、なぜそうなるのは分からないんだ」ということであった。

・Échézeaux 200X(エシェゾー)
 これは香りがより密で核を持ちながら、その核からエネルギーが込み上げてくる。いくつもの果実の甘み、
 適度な苦味、酸味のボリュームがさらに大きく、とても高いレベルでバランスされている。核になっている
 塊はエネルギーを内包し、ググっとくる力強さではなく、しなやかで柔らかさを持つ味ですばらしく、おい
 しい。とてもとても甘ーく、ニンマリして笑いが込み上げる。

 「うわー、すごい甘くて、要素のレベルが高くて、おいしいですね」
 「そうでしょう。すべての要素が高くなっていて、バランスが取れているよね。」
 ここで妻が絹のように滑らかだ と言ったので、事前やり取りの途中からずっと英語になっていたが、その
 表現は知っていて、英語でのテイスティング用語に自信がなかったのでフランス語で伝えた。
 「そうだよね。滑らかだよね。それにしてもすごいフランス語を使うね。そうかワインを勉強しているからか。
  うんうん」と納得してもらう。

 それにしても、さすがビゾーさんのエシェゾー。すばらしい。
 この樽の状態では甘みが先行した味わいのバランスで今でもとてもおいしく飲めるが、今はゆっくりして
 混沌としたいい意味の揺らぎがあり、もう少しすると球体の中でギュイーンと回転が始まるように感じた。
 これが成長していくとどんな姿になるか想像するのがとても楽しい。



「今度はフラメンテーション(発酵)をやっているので見に行こう」
セラーから地上に出て、作業場へ移動。脚立を立てていただき、登ってみると半熟状態のような葡萄が沢山
入っている。ビゾーさんがこんな感じだよと、葡萄を持つとポタポタと汁が滴る。
ビゾーさんが摘んで取ってくれた葡萄を食べると、とても甘い。完全な甘味先行で糖度が高く、澄んでいて、
後から少しの酸味が来るが、甘味に包み込まれて前へ出ることができない状態。

こちらではドメーヌ内でワインを購入できないので、ニュイとボーヌのお店を紹介していただいた。
小さなドメーヌへの訪問をありがとう。と謙遜して言われたがとてもすばらしい体験ができた。
知的で理系の印象を受けるビゾーさんはやさしく、親切。本当に忙しいところありがとうございました。

Domaine Bizot
9, Rue de la Grand'Velle, 21700 Vosne-Romanée 03 80 61 24 66