2011年6月18日土曜日

ブラインドによるワインテイスティング講座  2011年6月

主催 ワイン専門平野弥
テーマ 非公開(要素の分析→違いの把握→スタイル)

いつも通りブラインドだが、その前に昨日まで渡仏されていた平野さんの現地報告。
2011年の特徴 今の時期は通常花が咲いているが、今年はすでに花が落ちて実がついているぐらい早熟。雨が今まで降ってなく、8月下旬に収穫する予定。ドメーヌに聞いても、今までは順調 という回答。
また、ブルゴーニュは2009年はよい年と言われているが濃厚過ぎるところがあるのに対して、2010年はクラッシックなスタイル。ボルドーは2009年は評判通りよく、2010年は樽からの試飲でも酸がありおいしかったので、飲みなれている人にはボルドー、ブルゴーニュともに2010年がよいということ。


これはガングロフのパフューマが手がけたワインに関する石鹸。シラー、ヴィオニエ、ワイン畑の匂いというもの。平野弥で販売予定する予定で、日本初の商品になるそうです。


・Mathilde et Yves Gangloff Saint Joseph 2009(マティルド・エ・イヴ・ガングロフ サン・ジョセフ)
黄金に緑が入った中程度の色合い。甘い裏ごしされたキントンのような香りで、柔らかく肌理細やかで渋皮の香りもある。粘度が高く、キントンに柑橘系果実が混じって鼻を抜ける。酸が幕の1端だけ掴んで持ち上げたようにグワっと1つの大きな波となる。ズーンという柔らかい重み、甘味は雲のように膨らんで苦味が核となっている。飲み続けると、酸がタンと一瞬きた後、果実の酸がミネラルを伴ってミネラルがピーンと張る。

皆が要素を付け足して言い合って、このワインの特徴を捉える。マコンと捉えたが、全員、ムルソーとマコンの2つに分かれた。答えはサン・ジョセフの白。飲んだことがないもので、葡萄にMarsanne(マルサンヌ)、Rousanne(ルーサンヌ)、Viognier(ヴィオニエ)が使われている。このガングロフの白はすごいレア商品で日本に数十本しか入ってないらしい。

・Domaine Cordier Père et Fils Pouilly Fuisse Vers Cras 2009(ドメーヌ コルディエ プイィ・フュイッセ ベール・クラ)
マコンという話が出たので、オープンで出されたコルディエ。
同じ系統の香りだが、ガングロフより弱め。果実味と果実の酸がはっきりしている。苦味と酸がいっしょに伸びていく。ミネラルは張っている。2009年のACブルが開いているのに対して、こちらはまだ閉じている。

交互に飲むと強い成分が残るという方法を使って比較してみると、果実味、酸味などほぼ同じ強さのバランス。ガングロフのサン・ジョセフはマコンに似ているという発見。おもしろい。

続いて2つめのテーマ。両方とも2005年ヴィンテージということだけオープン。


・Gerard Quivy Chapelle Chambertin Gran Cru 2005(ジェラール・キヴィー シャペル・シャンベルタン・グランクリュ)
やや明るい色。弱い香りが時間と共に少しずつ強くなる。果実の酸、インク、スーッとする感じ、黒い果実、フルーティ、バラなどが香る。粘度は少なめで酸がピリピリとあり、渋みがある。濃いが明るいトーンの味わい。ガーンと舌奥に重みがあり、そのままズーンと沈む。余韻まで苦味と酸味が続く。

・Mathilde et Yves Gangloff Cote-Rotie La Sereine Noire 2005(マティルド・エ・イヴ・ガングロフ コート・ロティ ラ・スレーヌ・ノアール)
黒く濃い色合い。獣臭、奥から赤黒果実、インク、ショコラ、漆黒のイメージ、中域の香りが後ろから香る。味わいは明るいトーンで酸味が多く、渋みもある。シュワシュワっとした渋みが多く、タンニンが豊富。酸が中核にあり、その周りを甘味、さらにその周りを渋みが覆っている。

「この2本を出した意図は?」というナゾ賭けに対して、「同じ傾向の味わいで、スタイルが共通」これ以外は品種なども考えてなかったので、一応格違いとしたが、生産者だけでなく、品種も全く異なる。平野さんとしてはこの2本、特にガングロフのシラーと、シャペル・シャンベルタンに共通性を見出しているということ。これが例えばジュヴレ・シャンベルタンだとこのように共通性を感じないらしい。MRさんは2本目をシラーでガングロフと正解。すごい。




持ち寄った食事の数々。KDさんの肉、MDさんが持ち込んだサンジェルマンの米粉のパンがおいしかった。

最後の2本は食事しながらということで、エチケットもオープン状態。



・Domaine Schoffit Clos Saint-Cheobald Grand Cru Rangen Selection de Grains Nobles Tokay Pinot Gris 2002 @Alsace(ドメーヌ・ショフィット クロ・サン・テオバルド・セレクション・グラン・ノーブル トケイ・ピノ・グリ)
濃い黄金色。いい蜜の香り。完全にデザートワインで草の香りもある。甘味、酸味が順にくる。エグミがなくておいしい。苦味があって、酸が後半リゲインのようなピリピリさがある。いい蜜の旨味があり、ウイスキーのような芳香や風味が後半出てくる。

・Domaine Schoffit Clos Saint-Cheobald Grand Cru Rangen Selection de Grains Nobles Gewurztraminer 1998 @Alsace(ドメーヌ・ショフィット クロ・サン・テオバルド・セレクション・グラン・ノーブル ゲヴェルツトラミネール)
ウイスキーやブランデーのような濃い色合い。ゲヴェルツを濃縮したようなすごい香り、冷やした方がいい香り。味わいは紅茶のような旨味、苦味を持ち、紅茶はディンブラの風味を思わせる。基底に酸味がしっかりといる。

甘味、酸味、苦味のバランスがいいのはピノ・グリ、香りの強さや後者の風味でいいのはゲヴェルツ。ともにデザートワインとして上質で同一品質。個人的にはピノ・グリ、ほんの少し飲むならゲヴェルツ。

Château de Fuissé Château-Fuissé Pouilly-Fuissé Collection Privée 1999(シャト-・フュイッセ コレクション・プリヴェ)
マコン、熟成という話からIMさんが提供してくれた1本。
今は苦味が前に出る感じだが、澄んでいて、酸やミネラルがきれい。2ヶ月前に飲んだ1998年と比べると表情がまだない。時間が経つとだんだん要素が出てきたがまだ相当早い。10年経ってこれとは。

本日も6本+提供1本といいワインを沢山飲ませていただきました。ご馳走様でした。全く異なる地域との共通性が見れてとてもおもしろかった。