2011年7月16日土曜日

ブラインドによるワインテイスティング講座  2011年7月

主催 ワイン専門平野弥
テーマ 非公開(距離感を掴む)

いつもの通りブラインド。まず肩慣らしで白を2本。


Domaine de Figueirasse Chardonnay 2009(ドメーヌ・デ・フィグラス シャルドネ @ラングドック)
色合いは薄い。ライムなどの柑橘系、何か白いイメージのこもった感じと酸を感じさせる香り。放置すると果実の甘い香りも出てくる。味わいは柑橘系の酸味、甘味が舌先にあり、酸味がきれいにゆっくりと奥に進む。酸が平面に薄く広がり先端がシャープな印象。

Domaine de Figueirasse Les Saladelles 2008(ドメーヌ・デ・フィグラス サラデル・ブラン @ラングドック)
色合いは前者と比べて明確に濃い。透き通った香りでスーッとする感じと高いトーンの酸、ブルーチーズやマヨネーズの香りがある。口に含むと丸みを帯びているがガツンとした味わいの強さがあり、舌中央に酸味が持続し、苦味がじんわりと少し奥へ進みながら徐々に強くなっていく。酸が針状にいる。

ひと言で比較すると、前者が酸味、後者が苦味。酸の出方がまったく違うのは品種によるものだと思うが、ここから同一生産者やラングドックという地名を出すのは難しい。シャルドネはブルゴーニュと感じさせるもので、1500円程度という価格を考えるとお買い得。

次に赤2本、その後に1本追加。


・Domaine du Gardin-Perrotto Givry 1er Cru Clos Salomon 2007(ガルダン・ペロット ジヴリ・クロ・サロモン)
少しクスミとレンガの風合いが入った色。甘い果実が柔らかく、優しい香りで、獣臭や鉄分、小さいバラもあるいい香り。味わいは果実の甘い赤いベリーで、柔らかく、ほんわりとした甘味、酸味はパーンと広がり、そのまま打ち上げ花火のように長い時間を使って、1つ1つの光が静かに消えていく印象。バランスがいい。

・Domaine du Gardin-Perrotto Givry 1er Cru Clos Salomon 2008
赤紫に少しクスミが入った色合い。香りは少し抑え気味だが後方から濃い紫色の花をイメージさせる香りが立ち昇る。もわーっとした雲のような感じと、塩を含んだエビセン、放置するとショコラの香りが少し出る。奥にメイプルシロップの香りがある。口に含むと果実が凝縮した感じにギューっと詰まっていて、酸がツーっと強めに長く線状に奥へと進む。

・Domaine du Gardin-Perrotto Givry 1er Cru Clos Salomon 2009
前者より赤紫を濃くした色合い。香りも前者より全体が濃いめで特に塩、メイプルシロップが多め。味わいも前者より凝縮している。力強い味わいになっている。

2007と2008の共通性は見出せず、かなり距離が遠いと感じたが、同一生産者の同一銘柄でヴィンテージ違い。2007は本日到着したボトルのためなのか不明だが、これが本来の味わいだとすれば、醸造家の交代など大きなスタイルの変化があったと思えるぐらい遠いと感じる。2007は今が飲み頃のバランスでメレンゲのようにほわほわした感じで、2008は透明感があり、硬くはないがゼリー寄せのように要素がカチッとしている。
一方で2008と2009は同一傾向の味わい。そのうち2009はそのヴィンテージらしく、味わいがとても濃い。ボルドーっぽいという意見が出るぐらい濃く、濃い味わいが好きな人向け。2008年ヴィンテージの人気が高かったが、2009年を好きな人もいて、個人的には2008年も好きだが、2007年のほわほわ感もジャン・ラフェっぽさもあり好きな味わい。

次に別のテーマで赤2本。


Calera Ryan Vineyard 2008(カレラ ライアン)
少し濃いが透明感ある色。甘く柔らかい香りで赤果実とスーッとする紫の香り。少しのインクがあり、全体的に華やかな香り。味わいは濃いが輪郭はほわっとしている。酸がカッターの刃のように平面で少しの幅を持って奥へツンと進む。

Calera Mills Vineyard 2008(カレラ ミルズ)
色は前者とほとんど同じでほんの少しだけ濃い。香りも近く、少しだけ濃くてもったりしている。味わいも同系統だがこちらの酸は同等にあるものの、甘味、苦味、タンニンに押さえ込まれている。

距離としてはかなり近く、同一生産者と同一ヴィンテージ2009年と感じられ、後者の方が上には思えるが格違いほどではない。違いは分かるが何違いかは分からなかった。正解は畑名違いで、ブルゴーニュを前提に考えたので村名と1erの差ほどないと思ったが、カリフォルニアの畑名違いだった。言われてみるとカリフォルニアの甘味が先行していて、味わいは濃いが造りはクラッシック。

・Domaine Jean Fournier Marsannay Trois Terres 2006(ジャン・フルニエ マルサネ・トロワ・テレ)
カレラとの比較で出されたジャン・フルニエのマルサネ。カレラに負けないぐらい濃いが、甘味は先行せずにミネラルで全体がすっきりとまとまっている。


ここまでのラインナップ。




ここからは各人が持ち込んだもので食事なので色々とおもしろい。サンドイッチがもっちりしたパンでおいしく、コンビーフが塩味が控えめで素直な味で特においしかった。食事しながらさらに抜栓。デザートの表面は蒸しパンのようで、中は卵を沢山使ったスフレのような食感で、生地はどこまでも密に繋がっている。


Domaine Roland Van Hecke Cremante de Bourgogne(ドメーヌ ロラン・ヴァネック クレマン・ド・ブルゴーニュ)
泡が大きく、ピノ・ノワールのクレマンで感じる引き締まったコクを感じる。シュヴロのクレマンもピノ・ノワールを多く使っていて似た傾向だが、最近のヴィンテージと比較するとこちらの方が果実味が豊かでしっとりした感じがありおいしい。口に含んで空気を巻き込んだときの泡の膨らみ方にシャンパーニュっぽさがある。


Domaine Mathilde et Yves Gangloff Condrieu 2006(マティルド・エ・イヴ・ガングロフ コンドリュー)
最後に皆のリクエストでガングロフのコンドリュー。紅茶しかもアールグレイの香りが高く、味も紅茶で渋味を伴ったアールグレイの紅茶の風味で、少しのオイル感で全体はまろやかになっているがかなり濃い味わい。それでもシャキッとした後味。

本日も9本と色々と飲ませていただきました。ご馳走様でした。ラングドックの白は他の銘柄でも感じていたが、安くておいしいものがある。ガルダン・ペロットのジヴリはヴィンテージ違いが明確。カレラを含めて本日のラインナップのほとんどはブルゴーニュらしさを持つが、本当のブルゴーニュであるフルニエとクレマン以外はミネラルをほとんど感じなかったのが特徴や違いだろうか。ブラインドは難しいがニュートラルに見れるので発見もあり、おもしろい。