2011年10月15日土曜日

ブラインドによるワインテイスティング講座  2011年10月

主催 ワイン専門平野弥
テーマ ワインの品種

先月から新講座となったテイスティング講座。前回に続き今回もワインの品種がテーマとなった。
初参加の方もいるのでこの講座の方式などから説明された。香りについては調香師の香りの取り方を採用し、大きく分けて階調が高い成分からトップノート、ミドルノート、ベースノートの3種類に分類している。このうち、トップノートにはオレンジやレモン、シトラスなどの柑橘系があり、例えばピノ・ノワールには熟したオレンジの香りがある。ミドルノートには花やフルーツ、グリーン系やハーブなどがあり、例えばソーヴィニヨンブランにはジャスミン、リースリングにはユリ、シャルドネには菩提樹の花の香りなどがある。ベースノートには樽起因の木や森、鉱物、獣臭などがあり、例えばカベルネソーにヴィヨンにはウッディグリーンがあり、土やキノコも入るとスーボワ(仏:sous-bois)という森に入ったときの色々な要素が混じった香りになる。

最初の2本



・Hubert Lignier Fixin Blanc 2008(ユベール・リニエ フィクサン ブラン) @France,Fixin(5565)
色は薄く少し緑も入っている。香りは樽とオレンジの高い成分、グレープフルーツの甘皮と表面の皮、スクレ(焼いた砂糖菓子)などがある。スワリングするとゆりなど花びらが大きい白い花の香りと小さな菩提樹の花、少し青っぽさも出てくる。口に含むと舌に酸がピリピリときて、ライム、カボスが鼻に抜ける。甘味にボリュームがあり、ばたつきがなく、上品に流れていく。酸味とミネラルがきれいでグレープフルーツの苦味を伴う。

・Lucien Crochet Sancerre Cuvee Prestige Blanc 2003(ルシアン・クロシェ サンセール・キュベ・プレステージ) @France,Loire(6311)
色が濃いめでテリがある。香りは弱い。スワリングするとオレンジやグレープフルーツが出てくるが、混沌とした印象を受ける。蜜のボリュームが強く、酸は柑橘系で菩提樹の花やセロリが香る。口に含むと粘度があり、酸が強めにピリピリとして、蜜の甘味が強いボリュームを持つ。そしてその甘いボリュームと酸味を覆うように苦味があり、余韻まで苦味が続く。全体としては味がぼやけている。

2本とも菩提樹の花の香りを感じたので両方シャルドネとしたが、後者はソーヴィニヨンブラン。2003年というヴィンテージはオープンされていたので甘さはあるとして、柑橘系の成分が多いのでプイィ・フュイッセ辺りだと思った。また、MRさんが言われたムルソーにも感じられ、柑橘系果実味と酸味が一体化した味わいも持つ。再度試したとしても正解できるか分からない。かなり難しい。

これらの比較として、プイィ・フュイッセとムルソーを出していただいた。こちらはオープン。



・Chateau Fuisse Pouilly Fuisse Vieilles Vingne 2003(シャトー・ド・フュイッセ プイィ・フュイッセ ヴィエイユ・ヴィーニュ)(4620)
ルシアン・クロシェに香りがとても似ている。グリーンやオレンジ、洋ナシを凝縮した香り。味わいは舌にしっかりと味がのり、甘味と酸味、やや強い苦味が丸い3cmぐらいのボリュームになる。最初は甘味が一番強く、苦味、酸味の強さだが、甘味が早く引き、次に酸味がスムーズに引き、苦味は長く維持するので余韻では苦味が強めに感じる。洋ナシの香りはシャルドネにあるらしい。

・Fabien COCHE-BOUILLOT Meursault Goutte-d'Or 1er Cru 2005(ファビアン・コシュ・ブイヨ ムルソー・グット・ドール プルミエ・クリュ)(9555)
これもルシアン・クロシェと香りが似ている。グリーン、野菜、セロリなどがあり、澄んだ香り。味わいは甘味が安定していて、下からミネラルと酸味、甘味と階層構造になっている。ミネラルは強く、キーンと張りつめたところもある。柑橘系の果実と酸味が混沌としている。味わいの表面にグレープフルーツの甘皮があり、全体の味が澄んでいておいしい。ミクルスキの方がシャキッとしているが、これもシャキッとした味わいで周囲には甘味も広がる。

続いて赤2本



・Lucien Crochet Sancerre Cuvee Prestage Rouge 2003(ルシアン・クロシェ サンセール キュヴェ・プレステージ)(7203)
かなり濃い色。香りにはインク、グッと小さく収縮した果実、スパイシーに胡椒、強いハーブなどがあり、濃いが高いトーンと中低域のやや重い香りもある。口に含むと粘度は低く、酸は舌に停滞し、タンニンが多い。鼻には香りが抜けない。果実味がきれいで、平面状にある酸が中低域から高域に上昇していく。この酸はきれいに突き抜けた味わい。

・Chateau Carbonnieux Rouge(A.C.Pessac-Leognan)(シャトー・カルボニュー ルージュ) @Bordeaux (6090)
濃いめだが透明感ある色合い。混沌とした香り。インクと青いハーブ、セロリなどの野菜、濃くて中域のボリュームが大きい香り。口に含むと粘度が前者より少し高く、酸はキラキラと舌で瞬く。タンニンは前者よりもさらに多く、舌がシワシワとなる。果実味がしっかりしているが後味はすっきり。味わいの周囲に苦味があり、乳酸の味が強い。香り、味ともに混醸したワインのもの。

前者をシラー、後者をサンセールとしたが、正解はピノ・ノワールとカベルネ主体。サンセールは混醸しないそうなので何か間違えて覚えてしまっている。シラーで間違えたのと比べられるようにガングロフを提供される。


・Mathilde et Yves Gangloff Cote Rotie La Sereine Noire 2005(マティルド・エ・イヴ・ガングロフ コート・ロティ "ラ・スレーヌ・ノアール")(10080)
スパイシーだがこのシラーは上品なのでピノ・ノワールのルシアン・クロシェと同じ雰囲気を持つ。味わいも澄んでいるのでこれをブラインドで飲んでもピノ・ノワールとシラーと区別しにくい。さすがの味わいなのだがブラインドとしては難しい。


Cono Sur Pino Noir 20 Barrels Limites Edition 2008(コノ・スル ピノ・ノアール 20バレル リミテッド エディション)(1974)
香りが濃く、ヨード香もある。やや苦味が強めだが、酸味と果実味、苦味がバランスしている。


ラ・テールのパン。お手製サンドイッチ

KZさんお手製の生ハムとフルーツ。自家製ピクルス。

肉祭り。鶏、豚。

枝つきぶどう、パイ。ラ・テールのはちみつバウムクーヘン大地の樹。

今回もいいワイン、おいしい料理を楽しめました。ご馳走様でした。参加者の人数が多いと勉強会としてのコメントのやり取りは少なめになるが、いいワインや本数を多めに飲めるのでこれもまた楽しい。