2011年12月17日土曜日

ブラインドによるワインテイスティング講座  2011年12月

主催 ワイン専門平野弥
テーマ ワインの品種

  
冬でこの場所のためかまだ19:00だというのに辺りは真っ暗。先月は都合で参加できなかったテイスティング講座の12月度。テーマは変わらずワインの品種。師走ということで講座の参加メンバは皆さん忙しく、今回参加したのは3名のみ。いつも通りブラインド。

  
Domaine Félines Jourdan Roussanne 2010 @Languedoc,France(フェリーヌ・ジョルダン ルーサンヌ)
緑が入った濃いが透明感ある色合い。香りには南国フルーツ、マスクメロン、瓜科の蜜が入ったもの、蜜の入ったパイナップル、アルコールでスーッとする感じ、アカシアの花、オイリーさもあり、全体としては中低域の香り。口に含むと細かい酸と泡がパチパチと舌で弾ける。粘度は少しある程度だが、舌でトロリとしてパッションフルーツの甘味がきて、酸はパーっと広がり、そのすぐ後から苦味が少しくる。酸やミネラル、果実味が平面ではなく、舌の上で細かい凹凸形状を持ち、その形状のまま舌奥方向へパーっと進んでいく。進んだ後の形がフォークの先端を舌の上にのせた状態と表現すれば通じるだろうか。その伸びる味わいの質感は中域の果実のボリュームとかなり高いトーンの酸とミネラルで構成され、その中間である中高域のトーンは存在しない。
温かみがあり、コンドリューのようなオイリーさもあるので、フランスのかなり南であることは推測できたが品種は分からなかった。価格は希望小売で1700円ということで、余韻は短いものの、堂々として澄んだ味わいから有名生産者が作っていれば3500円、ラングドックで作っていたとしても1980円なら安く、2200円程度だと感じたのでお買い得ワイン。ラングドックは最近いいものがある。

次は2種類同時。
  
 
 
Patrick Piuze Chablis Terroir de Chichée Vendanges 2010(パトリック・ピウズ シャブリ テロワール・ド・シシェ)
色は薄く青みかかっている。香りは弱く、白い花、少しもあっとしている。石灰も香る。高いトーンと高低域の香りの成分があり、後からショコラや蜜、バニラなどが出てくる。口に含むと粘度は低めで果実の酸味が少しピリリとし、後から蜜やふんわりした甘味がきて、カボスなどの柑橘系の酸味、オレンジやみかんの白い甘皮部分だけの味わい。透明感ある高いトーンが白い甘皮といっしょに伸びていく。ミネラルが強くキーンとする感じがあり、弱い味わいだが酸は低空飛行のまま伸びる。

Patrick Piuze Chablis Terroir de Fyé Vendanges 2010(パトリック・ピウズ シャブリ テロワール・ド・フィエ)
色は前者と同じ。香りは中低域の重い成分を持ち、柑橘系が先で、もあっとした感じの後に酢酸など梅酢のようなものが香る。ヒバやダンボールも少し香る。口に含んでも粘度は同じ程度で、中低域のやや重みを伴った酸味がミネラルと共にくるが、酸はスススと収まり、伸びていく先端が丸いミネラルと果実味の中に消える。

両者はかなり近い距離感を持ったもので、生産者は同じだろうということが推測できた。また、北の地域であることは分かるが、シャブリだとすると現段階で開いてないかもしれないがあまり品質が高くないように思えた。ブラインド後に放置した状態ではシシェはよくなってきたので、フィエもよくなるのだと思うが現状はかなり弱い。両者は同じ程度の酸やミネラル、果実味だが、シシェが低空飛行だがずーっと伸びていくのに対して、フィエは酸やミネラルが強くグっと立ち上がり、その後にすぐに収まるところが大きく異なる。比較するとフィエはアタックが強く受ける印象は強いが、味わいが急激の上下するので、食事に合わせるのであれば好みはシシェとなる。

  
Patrick Piuze Chablis Terroir de Chablis Vendanges 2010(パトリック・ピウズ シャブリ テロワール・ド・シャブリ)
先日に飲んだ同一生産者のテロワール・ド・シャブリはシシェやフィエよりもおいしかったので、こちらは比較のためにオープンで追加。
色は同じ程度だが、グッとする強い香り。火打石、ミネラルがすごい強い。スワリングすると裏に柑橘系果実が現れる。典型的でシャブリと分かりやすい香り。口に含んで少ししてからピキッと酸とミネラルが光る。果実味、酸味、ミネラル、苦味のどれが強いということがない状態でバランスよくまとまっている。後半もピキッ、ピキッっと瞬きながら高いトーンでキーンと進んでいく。その伸びていくときにもまとまりがある。

この3種類はほぼ同じ価格ということだが、現段階ではテロワール・ド・シャブリがダントツでおいしい。シシェはグラスを変え、時間をかけて良さが少し見えてきたが、フィエは時間内には見えてこなかった。

  
Domaine Félines Jourdan Languedoc Rouge 2008 @Languedoc,France(フェリーヌ・ジョルダン ラングドック・ルージュ)
濃い色合い。グッと強い香りで、インク、黒果実、熟成した紹興酒、少しの藁、黒い中核を持ちそこから黒い成分が食指を伸ばしている様が見える。温かい印象で果実がぶわっと膨らんでくる。インスタントラーメンのスープの素や、KHさんが言われたメンマが香る。このメンマは醤油と鰹節に漬けたタイプのもの。口に含むとまずスパイシー。酸味が強く、タンニンがとても豊富、果実味がその後を追いかける。
これはシラーに感じる特徴そのものでシラーで正解。

Château de Reignac Grand Vin de Reignac 2006 Bordeaux Superieur(シャトー・ド・レイニャック スーペリオア)
すごく濃い色。丸い果実香の裏にメントールがあり、杉の香りが強い。ふわーっと黒果実が広がりミルキーな成分も持つ。スーットする感じもあり、これはいいワインの香り。口に含むとタンニンがかなり強く、粘度はそこそこ。果実味がしっかりしていて旨味も十分にある。ブワッと力強く、酸も寄り添い、タンニンは強いがほんわかした甘味が続く。
総じていいワイン。品種はカベルネかメルローか迷ったがカベルネにしてしまった。実際にはメルロー75%、カベルネ25%。

Domaine Nicolas Rossignol Volnay 1er Cru Clos des Angles 2005(ニコラ・ロシニョール ヴォルネイ クロ・デ・ザングレ)
濃いが透明感ある色合い。香りは大人しいがいいワインのもので、スワリングすると酸と合わさった果実がブワーっと広がる。セメダインの香りも少しある。口に含むと酸がきれいにピーンとくる。クーっと力強く、それでいて透き通った味わい。
これもいいワイン。これは間違いなくピノで正解。

  
  
ローストビーフ。チャーシュー。

  
蒸し鶏
  
シャン・ド・ブレのクラップフェン。シナモンシュガーの甘味と中は酸味がある。お気に入り。
  
セサミブレッド、ソーセージパン。
  
ハヤシライスの具をパスタにのせたもの。ハヤシパスタ。
  
フェリーヌ・ジョルダンの赤はデカンタし、レイニャックはピノグラスで飲むとさすがにおいしくなる。
  
シャン・ド・ブレのコゲパンダ。カリカリして黒蜜の風味があるパンで作ったかりんとうタイプ。

  
本日のラインナップ。おぉ、いつの間にか7本も開けていた。

本日もおいしいワイン、料理ありがとうございました。シャブリは同じ生産者の畑違いでレベルが違うように見えるのはおもしろい。どれもミネラルや石灰は豊富でシャブリらしいシャブリだった。KHさんは今回のテイスティングでシャブリが苦手ということが判明した。シャブリはミネラルや石灰の強さから、人によって好みが大きく分かれるように思える。