2012年1月8日日曜日

東夢ワイナリー 店頭試飲

  
シャンモリワインさんを訪問したときに近くで看板があり「こんなところにワイナリー?」と知らなかった東夢ワイナリーさんをお伺いした。「600mぐれえ」というのがおもしろい。

  
到着すると「どうぞどうぞ」と迎えていただいた。「やっているよ」という看板がある自宅のようなドアを開けてスリッパに履き替えて2階へ行くと会議室のようなスペース。「まずは見学しますか」と、社長の髙野さんに案内いただく。

  
タンクは最初3台で、現在は7-8台に増えている。形が違うので尋ねると、「最初はお金がなくて2層になってない1枚のステンレスタイプしか買えなかったから、わっはっは」ということ。2種類の価格は大きく異なり、1枚タイプの方では手作りで断熱や冷却できるように工夫されていた。

  
果帽を加工した新商品の開発中で少し舐めさせていただいた。甘味はないが生食のぶどうらしい味で、さっぱりしてドレッシングに混ぜて使ったり、調味料やソースに利用できそうだった。引き合いが多いそうです。納得。

  左下中央は甕熟成のブランデー
  
  
  
2階に戻り、少ししてから試飲担当の方が戻られ、説明や試飲対応していただいた。

ひと言テイスティングノート
・元(1300) 純米酒のような香りで、味わいも同様で舌にトロミを感じさせながら純米酒のような風味がある。果帽も漬けたタイプ。
・甲州(白) 2010(1575) 香りが澄んで、味わいにも透明感がある。果実味と酸味のバランスがよく、余韻に透明感がある。食中酒としてよいタイプ。この年は収穫量が少なかったが、その分ぶどうの質が良かったとそうです。
・もてなし 2010(2000) フリーランの果実をフランス産のオーク樽で熟成したもの。バニラなどの柔らかい香りがあり、果実の高いトーンと樽からくる小さいが低いトーンの重みもある。フレッシュだが重みも少し欲しい人向け。
・勝沼貴婦人(白) 2011(1470) 勝沼貴婦人(赤)とセットにできるようにスタイルを合わせて醸造された白。香りがフレッシュな果実が主体でお椀型にやさしく膨らむ。味わいも果実味がしっかりしていて、しなやかで澄んでいる。おいしくてコストパフォーマンスが高い。ワイナリー内でも設定が安すぎるのではないかという意見が出ているそうだが、赤に合わせた価格に設定されている。
・甕熟成ブランデー 1995-6(非売品) まろやかな甘い香りにハッカも混じる。口に含むとパッと香りと風味が立ち上がり、舌にまろやかで、エネルギーがグーンと力強く喉奥方向へ進む。樽熟成でないので澄んだ味わいで、好きな機山洋酒工業のブランデーとマールだと、マールの味わいに近い。ブランデーを販売する免許の許可が下りないので販売できないらしく残念。このブランデーの試飲を楽しみに訪れる方もいるそうで納得できる。
・勝沼貴婦人(赤) 2010(1470) フレッシュな赤果実のベリーが香り、味わいもフレッシュで酸味とのバランスもよく、ベリーA独特な甘味が少ないので食中酒として合わせやすそう。
・かなめ 2009(1680) 中域の風味と重みを少し持ち、その後ろから果実味が出てくる。小樽熟成させている。
・3595-5 2010(1680) 「3595-5」というのは勝沼の番地。中低域の香りと風味が薄くどっしりして高いトーンを伴う。口当たりや和からかで後半にフレッシュな果実味と酸味がくる。マスカットベリーAとカベルネソーヴィニヨン、ピノ・ノワールのブレンド。
・葡蘭酎 白(ぶらんちゅう)(2100) こちらは甕で寝かせてないブランデーを元で割ったもの。香りは元の風味が強く、奥にブランデーが香る。味わいもそれらが交互に出るような感じ。
・葡蘭酎 赤(ぶらんちゅう)(1800) 勝沼貴婦人の赤で割って、度数を20度に下げたもの。度数が低くなっているのでブランデーの風味が弱くなり、全体として混沌とした味わい。

評価
一通り試飲させていただいたが、甲州(白) 2010と勝沼貴婦人(白) 2011はおいしくてコストパフォーマンスが高い。そして、非売品のブランデーはとてもおいしい。デイリーワインだけに力を入れていて、楽しく好きなことをやっているという皆さんの雰囲気が伝わりとてもよかった。甲州種でも作り手によって大きく味が異なるが、今回の試飲した元とその他によって醸造条件でこんなに違うということが驚きだった。場所は、シャトレーゼさん&シャンモリワインさんとメルシャンさんの間にある川沿い。地図の番地で調べると少し違うところになるので注意が必要。最近は土日曜日にワイナリーを開けているそうだが電話で事前確認した方が安全。

東夢ワイナリー(とうむ)
山梨県甲州市勝沼町勝沼2562-2 0553-44-5535