2012年2月18日土曜日

ブラインドによるワインテイスティング講座  2012年2月

  
毎月恒例のワイン専門平野弥さん主催ワイン講座で今期のテーマは「ワインの品種」。

  
  
 
・Chateau Sociando Mallet 2007(シャトー・ソシアンド・マレ)(A.O.C.Haut-Medoc)(4100)
外観はエッジまで赤紫で透明感があり若い印象。香りは実が詰まった黒果実、甘さを含んだ中域のトーンが安定して持続し、獣臭や杉の香りがある。口に含むと粘度は低めで舌先にタンニンは細かい。ある程度果実のボリュームがあり、そのボリュームがほわーっと膨らみながら消えていく。酸味が強めで口奥方向へ流れていき、後半になるにしたがって酸味が強く伸びる。全体として中高域のトーンで大地の部分で中央に集まってきた要素、主に酸味が上昇気流にのってスゥっと山の形に上っていく印象。高域はそれほどないので山の先端は尖ってない。

・Chateau Sociando Mallet 2007(シャトー・ソシアンド・マレ)(4100)
2杯目だが、これはサービスの失敗。なんと同じものが注がれてしまっていた。しかし、前者より、色は紫が強めで、香りは甘さが鼻先にいて低中域、味わいは同じ味だがタンニンが強い とコメントを書いていた。ワイン会なのでも何度も経験しているが瓶の上下で味わいが異なり、上記はそれを指している。一人二人で1本を飲んでいるとワイン自体が変化するのと、少しずつ濃くなっていくのに舌がなれて気がつきにくいがこういう会では発見しやすい。

・Manoir de Gay 2007(Le Gay 2nd)(マノワール・ド・ゲ) ( A.O.C.Pomerol)(2900)
色はくすみがあり透明感が弱く紫色が前者の倍ぐらい入る。香りは芋の蜜、焼けた感じがぶわっと膨らむ。その後スーッと流れる風のようだがユーカリなどが混じり、樹の縦に入る木目のよう。バニラアイスもあり、前方にはもやがあり、獣臭は少ない。口に含むと粘度は前者より少し高く、舌先に酸がピリピリし、タンニンは大きめだが1粒ずつが甘味のある黒果実に内包されている。やさしく、軟水のような澄んだ味わいで酸味、果実味、苦味のバランスがいい。全体では、10cmぐらいの楕円状がほわーっと丸く柔らかく底面にいる印象。

スタイルが異なることから生産者は違い、また、前者はカベルネ主体で後者はメルロー100%。

  
  
Chateau Grand Corbin 1999(J.P.Moueix)(シャトー・グラン・クロバン) (A.O.C.Saint-Emilion)(3000)
濃く、タンニンの粒子も見える外観。香りには黒く動かない中核がずーっとあり、果実と花が融合してこれといった強い要素が見つからない。口に含むと酸が舌上を先にはしり出すが果実がすぐに追いつく。舌先に酸がピリピリし、口内全体にもピリピリと進み、舌裏にタンニンがくる。酸がボリュームを持ちながらスーッと流れていき、手前には3種類ぐらいの漢方薬がコブシ大に滞在する。漢方薬は八角や龍角散など。全体としては前者2つの中間で、両方の要素を持ち、底面にはマノワール・ド・ゲのようなほわーっとした丸く柔らかいものがあり、中低域はなく、中高域にソシアンド・マレのような小さいが山形状にスゥっと立ち昇る酸味がある。

サンテミリオンは酸味が砂浜の波の先端のようにサーっと薄く進んでいき、その上に遅れて果実味がその酸味にのってくる印象を受けるが、このワインは酸味が先行するものの途中で果実味に追いつかれて、さらには追い抜き甘味が先行する形に入れ替わる。A.O.C.はサンテミリオンだが生産者はポムロールなのでポムロールらしさが現れているということだった。

  
・Claude Dugat Bourgogne Rouge 2008(クロード・デュガ ブルゴーニュ・ルージュ)(4300)
透明感あるきれいなルビー色。甘味を伴うスモモ、獣臭、ケシの実、モヤモヤした感じにセロリや人参の葉などの野菜、オレンジを抽出した成分が香る。透き通った味わいで、梅、スモモなど高域の要素がグラデーションとなって存在し、ヨーグルト風味が中盤にあり、酸がミネラルと共にいて、果実も伴いながら進んでいく。

・Claude Dugat Bourgogne Rouge 2009(クロード・デュガ ブルゴーニュ・ルージュ)(4600)
濃く黒も入った色合い、でも透明感ある。香りは赤糖、オイル、灯油、ひまわり油かナタネ油、黒いイメージを受け、スミレよりもっと濃い色の紫や黄色に黒が入った大きな花びらの花が香り、冷涼でパーっと張りもある。オレンジも香る。口に含むとぶわっと酸味と果実が左右から巻き上がる。舌には柔らかく甘く穏やかだが、上顎奥に酸味がぐっと出てくる。骨格があり、しっかりしている。

予想は、骨格があり鉄分も少し感じるので後者はジュヴレ・シャンベルタン、前者は酸が特徴で細身だがシャンボールという雰囲気ではなく、酸味の先端がぼやけているのでMDさんが予想したニュイサン・ジョルジュになるほどと思ったが、それにしては酸が鋭角な印象を受けたのでフィクサンと予想した。正解はヴィンテージ違い。実力のある生産者は1ランク上の味わいに感じるがこのACブルも普通の村名クラス。繊細なのは2008年で、しっかり、はっきりしているのは2009年。

  
Armand Rousseau Gevrey Chambertin 1981(アルマン・ルソー ジュヴレ・シャンベルタン)(20000)
こちらはブラインドではなくオープン。美しく熟成した薄いオレンジの色合い。香りはブランデー、若草、ほんわかした甘さと熟成香りがある。口に含むと中域でほわーっとしたオレンジの風味があり、すべてが溶け込んで融合している。薄いのに濃いという相反する要素が両立し、熟成したときにある上質な葡萄スープの味わい。ふぁーっと区別できない旨味が5cmぐらいの層となって安定して平面状に広がり、後半その上に酸がグンと持ち上がって顔を出す。妖艶な雰囲気も少し持つ。

やはりおいしいアルマン・ルソー。これを飲んでからデュガを飲むとかなり味わいが濃く、要素1つ1つがビシビシと自分に向かって飛んでくる印象を受ける。アルマン・ルソーは、あまりにも味わいが馴染んで何事もないかのように水のように自然に受け入れられる感じで迫るところがないので、ともすると何の変哲もないワインに思ってしまうかもしれないが比較するとその凄さは明らか。

  
東夢ワイナリー 葡蘭酎(2100)
余興で持ち込んだ「ぶらんちゅう」。皆さんにはブラインドで提供したので色々な予想が出て、日本酒、マール、日本のワイン、何かのお酒、桃のお酒、何か混ぜ合わせたもの などいつもながらさすが。正解はワインと樽を使ってないブランデーを合わせたもので、皆さんの意見はほぼ正解。

勉強会は終了で食事会へ移行。
  
  
  
  
  
  
  
本日のラインナップ。

本日もおいしいワイン、料理ありがとうございました。10人で6本なのでワインの本数としては適度な感じだが、前回同様に食事が多くかなりお腹いっぱいになった。

ワイン専門平野弥
横浜市都筑区 荏田南町4212-1 045-915-6767 13:00-19:00 月火休