2012年3月19日月曜日

Champagne Richard Cheurlin(リシャール・シュルラン) ドメーヌ訪問

  
  

オーブ県にあるシャンパーニュのリシャール・シュルランさんを訪問。ここはシャブリの北東、車で1時間に位置する。シャンパーニュの最南端になるのだろうか。県道D671にある大きなコルクの周囲にはシャンパーニュのドメーヌが沢山ある。近くまでいくとドメーヌ名がいくつか書かれた小さな看板があるのでそれに沿っていくと到着。

  
建物に並んでいる左側のドアを開けると事務所になっている。事務所にいくと事前にやり取りしていただいたMdm.Lucie Cheurlin マダムが対応してくれた。「フランス語でいいですか?英語がいいですか?」「すみません、英語だと助かります」と挨拶以降は英語で説明いただいた。「まず外観からみて、醸造関係をみていきますか?」「お願いします」。

  
まずは圧搾。大きなテフロン製のような円筒形状の中に葡萄を入れて、重力を使ってプレスしていく。プレスして出てきたジュースは溝に集まり、溝に開いている小さな孔から下のフロアへと重力で落ちていく。写真右が溝にある孔。

  
下のフロアに来て見上げると孔の部分にパイプが付いている。圧搾機などの設置場所は固定され、スペースも多く使いそうだが効率的。

  
ステンレスタンクで発酵させ、温度は自動制御している。ステンレスタンクはよく見る円筒形以外に四角いタイプが積み重なっている。何か特別なのか伺うと、写真右のように内面がエポキシ樹脂で赤くコーティングされている。ステンレスタンクを使うと僅かだがステンレスのニュアンスが味わいにのってしまうので、それを排除するために利用するとのことだった。ビールなどでも瓶と缶で味が異なり、缶はやはり独特なニュアンスを感じるのと同じだと思うので納得。

  
NV(ノン・ヴィンテージ)などは同じ味になるように調合してステンレスタンクで貯蔵した後、瓶に詰め替え。その際、ショ糖と酵母のリキュールを写真右の小さなプラスチック容器に入れて、その容器ごと瓶の上側に入れて栓をする。これで瓶内二次発酵が開始される。

  
写真左のロゼには瓶首にプラスチック容器が見える。写真中央は澱の沈殿状態。写真右は澱を瓶首に集めた最終状態。

  
瓶を回転させて澱を集めていくルミアージュは、手動のものもあるが、写真左は自動タイプ。一日に数回カクンと動く。

  
ひと通り工程を細かく説明いただき、テイスティングルームに移動。

  
  
 
LSというシリーズから試飲開始。日本では見ない銘柄。

・LS Edmond Cheurlin Brut
リンゴがすっきりでクリア。炭酸が弾ける。2009と2010のブレンド。ピノ・ノワールは70%、シャルドネが30%。

・LS Sebastien Cheurlin Brut
シャルドネが前に出てくるので余韻まできれいで素直。妻のお気に入り。2008から2010年までのブレンド。ピノ・ノワール50%、シャルドネ50%。

・LS Coccinelle & Papillon 2007
てんとう虫が描かれているかわいらしいエチケット。銘柄もてんとう虫と蝶。てんとう虫はバイオロジックを意図して描かれている。ビオらしいふくよかな膨らみのある味わい。ふんわりした感じはビオ好きには気に入られる味わい。複雑で丸くやさしくておいしい。自然な甘味が残る。これはお気に入り。

次々とポンポン気前よくボトルを開けてくれる。

  
・Hヴィンテージ2006
複雑で深みのある豊かな味わい。NVのHと少しだけ似た雰囲気もあるが全くの別物。NVのHがピノ50%、シャルドネ50%に対して、Hヴィンテージはピノ・ノワールが70%なので味わいが全く異なる。NVは色んなヴィンテージのワインをブレンドして、いつも同じ味わいになるように調整するが、ヴィンテージはその年の出来に左右される。NVは何人ぐらいで同じになるように比較するか伺うと、私や兄弟、両親、関係者などが比較して、意見しながら少しずつ調整していく ということだった。

  
・Cuvee Janne Brut 2006
ピノ・ノワール100%。大樽で寝かしたもの。バニラやスパイシーな風味があり、黒さと深みのある味わい。フォアグラやタルトタタンの塩気と合うだろうとのことで、この深みが合いそう。

  
・LS Pluie d'ete Brut Rose
Edmond Cheurlinのようなフレッシュさの後に、ロゼらしいタンニンがじんわりとやってくる。

  
Hヴィンテージの説明していただいているときにマダムが英単語を思い出せなくて仏英辞典で引いてもらったりもした。

  
テイスティングルームには男女のイラストが描かれていて、どなたか伺ったり、銘柄になっている方を説明たいだくのに、曾おばあちゃんの子供の・・・と途中で付いていけなくなり、家系図のようなものを書いていただいたもの。外はまだ明るい。

試飲したシャンパンすべてに共通するのはやや冷涼な雰囲気で澄んだ味わいでスタイリッシュな印象を受ける。舌への泡の当たり方が適度で心地よいところ。Hヴィンテージは初めて飲んだがおいしく、また日本に輸入されてないLS Coccinelle & Papillon 2007はお気に入りになった。この銘柄にマダムの人柄が反映されている気がする。とても楽しいドメーヌ訪問になった。ありがとうございました。

Champagne Richard Cheurlin
16, rue des Huguenots,10110 Celles sur ource,France +33 03 25 38 55 04