2012年7月21日土曜日

ブラインドによるワインテイスティング講座  2012年7月

  
毎月恒例のワイン専門平野弥さん主催のワインブラインドテイスティング講座。今月のテーマは非公開。

  
今回は初めての方が3名参加されたので珍しく資料もあり、テイスティングの基本説明から講義された。外観、香り、味わいの分析と表現など。テラスが改築で窓が一時的にないので蚊取り線香が焚かれているがこのために香りを取るのが難しい。

1回目
Cono Sur Gewurzttraminer Reserva 2011 @Chile(コノ・スル ゲヴェルツトラミネール)
やや薄く、透明さと輝きを持ち、少しだけグリーンが入った色合い。香りには明確な皮付きライチ、奥からオレンジの皮、スワリングするとライチの種近くの香りも出てきて、ホワイトローズもある。口に含むと粘度は中程度でライチ、トロピカルフルーツが鼻を抜け、酸味はスーっと軸があって喉奥まで伸びていき、旨味もある。果実の甘く丸いボリュームがほわんと浮いており、酸味が流れ星のようにサーっと進んでいくような雰囲気。

Cono Sur Viognier Reserva 2009 @Chile(コノ・スル ヴィオニエ)
外観は前者とほぼ同じ色合い。ウイスキーのピートやブランデーの香り。中核がどっしりとした黒みがかっていて森の中っぽさもある。口に含むと粘度は中程度で鼻に抜ける香りはグラスから取れる要素と同じ。中くらいのボリュームで輪郭がカチっとしている。味わいは舌を流れていく瞬間から蜂蜜が広がり、柑橘の皮の苦味もある。時間が経つと少しライチも出てきた。

品種当てだが前者は明らかなゲヴェルツで、地域は考えてなかったが果実の甘味とボリュームからチリらしさが出ている。2011年のヴィンテージは初めて飲んだが例年通り華やかな香りで味ものっている。後者は香りからは取りにくいが味わいはヴィオニエらしさが出ている。ラングドックのヴィオニエが思い浮かんだ。コノ・スルのヴィオニエを飲んだのは多分初めて。

2回目
  
・Sacha Lichine Sauvignon Blanc 2010(サシャ・リシーヌ ソーヴィニヨンブラン) @ラングドック
色が薄く、水に数滴のグレープフルーツ果汁を入れた感じの色合い。香りは果実にバニラ、ミルクが混じっており、スワリングするとグレープフルーツの果実の皮、草、時間が経つと黒糖も入る。口に含むと粘度は少なく、柑橘果実の皮の苦味があり、その苦味の周囲に蜜を伴う果実、そしてさらに柑橘果実の皮の苦味がある。酸味はツーンと高いトーンで伸びていく。

・Cordier Pere et Fils Macon Aux Bois D'Allier 2010 (コルディエ マコン)
濃い色合い。輝きもありゴールドも入る。香りはバニラ、周囲に甘い果実を伴い、ワックス付きのグレープフルーツの皮がある。口に含むと粘度は少なく、セージや八角などのハーブ、龍角散のような香りが出てくる。旨味のある果実で酸味がじんわりと進み続いていく。柑橘果実の皮の苦味があり、味は薄く、ストンと落ちる。

味がおかしいということで同じものをもう1本抜栓。もちろんまだブラインド
・Domaine Cordier Pere et Fils Macon 2010(コルディエ マコン) 2本目
色からしてこちらの方が透明感があり、輝きがある。香りは素直な果実の香りで香水を思わせる。中実でライムや白桃もあるいい香り。口に含むと粘度は少ない。ふわんと柑橘の果実が鼻を抜け、口の中にふんわりと柔らかく広がる。口先から上顎に向けて縦方向にすぅっと立ち昇る。余韻もすっと伸びていく。

前者はソーヴィニヨンブランらしい香りと味わい。2本目のコルディエでもシャルドネっぽさを持つが3本目が正常で味わいにかなり差がある。

3回目
  
Egon Muller Scharzhof Riesling 2008(エゴン・ミュラー シャルツホフ リースリング) @ドイツ
薄く透明感と輝きがある色合い。香りはブランデーの熟成香、燻香、要素が豊富なためにオイリーさを感じ、ライムが少しある。口に含むと酸味が舌にぴりぴりし、甘いほわんとした果実の香りが鼻を抜ける。酸味が基底にあり、甘味はそれにほわんと乗っている。飲み込むと明らかな菩提樹の花の香りで蜜を伴う。

こちらも伸びがなくておかしいということでもう1本抜栓。
Egon Muller Scharzhof Riesling 2008(エゴン・ミュラー シャルツホフ リースリング) 2本目
色合いが濃くなり、でも透明感もある。香りは同じ系統。味わいは適度な皮の苦味もあり、立体的な同心円状に音の広がるのようにほわんほわんと波を立てながら余韻まで続いていく。リンゴの酸味がキリッとしてスーっと伸びていく。味わいがすごくすっきりしている。

やはりこちらも同じ銘柄で香りや味の基本構成は同じだが似て非なるもの。前者はそこに存在する物体として認識できるだけだが、後者の方は空間に伝播する味わいの広がりやそれがずっと伸びていくことによる空間の広がりと時間を含めた世界観が少し表現できている。

  
  
  
時間がなくなったので、料理を準備して、ここからはワインも銘柄をオープン。刺身を合わせるという裏テーマもあるのでそれに準じて食べながら確認。魚はキンキ、松輪のサバ。

  
・Ulysse Collin Champagne Blanc de Blancs Extra Brut Les Pierrieres 2008(ユリス・コラン ブラン・ド・ブラン エクストラ・ブリュット・レ・ピエリエール)
酸味とミネラルがしっかりしており、それでも厳しさはなく、果実がほんわりとした塊となっている。最近お気に入りの1本。
キンキとではキンキが甘くなる。サバは臭みが出る。

Andre Clouet Champagne Silver Brut Naturrel NV(アンドレ・クルエ シルヴァー・ブリュット・ナチュール)
半年ぐらいで何本か飲んでいるがどんどん味が変わってきている。硬質な切れるような鋭さから旨味がのってきてボディがグンっと主張し、その分輪郭がぼやけてキレが鈍っている。シルバーではない金エチケットのグラン・レゼルヴ・ブリュットに近くなって本格的ではあるが、好みでは前のキレがよかった。
キンキとではキンキが甘くなる。サバはピノの癖がサバを囲い込む。

シャンパンはシャルドネ、ピノ・ノワールどちらでもキンキが甘くなるというのはおもしろく興味深い。また、それぞれ独立して飲んでいるとあまり感じなかったが、こうして比較してみるとユリス・コランは明るく柔らかく(これは単体でもそう感じる)、アンドレ・クルエは同じぐらい繊細だが暗く影を持つ印象を受ける。陽と陰、明と暗というのがはっきりする。

  
・Gerard Quivy 2005 Gevrey-Chambertin 1er Cru Les Corbeaux(ジェラール・キヴィー シャペル・シャンベルタン レ・コルボー)
カラスという意味の畑名。ピノらしい味わい。同じ生産者でこの上のクラスであるシャルムの方は上品なバラの香りがあっていい。独特なコクがあった。キンキとは普通。

  
・Claude Dugat Gevrey-Chambertin 2008(クロード・デュガ ジュヴレ・シャンベルタン)
村名であるがさすがデュガさん。デュガらしいコクのある香りで、ミルキーさ、野菜、魚、草などの香りが含まれている。口に含むと酸味と甘味のボリュームが上品にまとまり、キュートな木の実、カシス、梅などのいい風味がある。デュガには空間にエクレアのような形状の黒く立体的な核があり、その周囲も暗がりのようなものを感じる。時間変化で周囲の風景は変化していくがその核は変わず動かない。例えるならぱっと眩しい光が眼に入り、暗闇を見るとその残像が変わらずに残っているような雰囲気。やはりおいしい。

  
最後にデザート。不二家の期間限定 ミルキークリームローラ。タレントのローラさんが名前になっている。通常のミルキーロールやネクターロールと違い、こちらはアールグレイの風味。Yuji Ajikiさんの安食ロールは上品で好きだが、不二家さんのロールケーキやソフトクリームはおいしいです。そしてフルーツの白桃。桃はおいしい。

本日のラインナップ
  

本日もおいしいワイン、料理ありがとうございました。品種違いがテーマで、安価なものでも優良な生産者と輸入状態であれば特徴がきちんと出ている。今回は人数も多かったので色々飲めて楽しめた。料理は持ち寄りだが調整してないのに珍しくうまい具合に分かれて、どれもおいしかった。

ワイン専門平野弥
横浜市都筑区荏田南町4212-1 045-915-6767 13:00-19:00 月火休