2013年8月17日土曜日

ワインと食事のマリアージュを探究する会(出汁とワイン) 2013年8月

  
毎月恒例の「ワインと料理のマリアージュを探究する会」。今月のテーマは出汁で、ワイン5種類と和風の出汁5種類との相性をみる。いつも通り5段階評価で、ワインと食材が喧嘩しなければ平均値の3点、ワインまたは食材のどちらか一方のよい要素が強調されれば4点、どちらの要素もよければ5点と採点する。参加者は7名。

  
ワイン5種類は前回と同じものなのでワイン単体のテイスティングコメントは省略。
Bioweingut Lorenz Riesling 2011(ビオヴァイングット・ロレンツ リースリング)[Ri]
②Cordier Pere et Fils Macon Aux Bois D'Allier 2011(コルディエ・ペール・エ・フェス マコン)[Ch]
③Comtes de Lorgeril Les Terrasses Cabernet Sauvignon Vin de Pays D'Oc 2011(コント・ド・ロルジュリル レ・テラス・カベルネ・ソーヴィニヨン ヴァン・ド・ペイドック)(CS)
④Chateau Coulonge rouge A.C.Bordeaux Eleve en Futs de Chene 2008(シャトー・クーロンジュ・樽熟成・赤)[M]
⑤Jean Fournier Marsannay Rouge Cuvee Saint Urbain 2011(ジャン・フルニエ マルサネ・ルージュ キュヴェ・サン・チュルバン)[PN]

   
出汁は高野豆腐に吸わせたものを使う。高野豆腐の風味や食感が加わり、出汁単体よりもまろやかで旨味を増している。最初の「カツオと昆布」の出汁とワインの相性は人によっとバラツキが大きい。中央の図は平均値と標準誤差。平均ではカベルネソーヴィニヨンの相性がよい結果になった。メルローとピノは人によるバラツキが大きい。どのワインとも旨味が似通って感じ、メルローはタンニンが柔らかくなり、ピノはガツンとしたアタックが柔らかくなる。

  
「煮干」の出汁。リースリングが圧倒的に相性が良い結果になった。人による差も小さい。リースリングと合わせた時に出汁が持っている紅茶の風味がふわっと広がる。紅茶はディンブラの風味。リースリング以外は高野豆腐の風味や田舎っぽさが表に出る。なお、出汁単体だと魚の風味がキツイ。

  
「干し椎茸」の出汁。平均ではメルローの相性がよい結果になった。リースリングの人による差が大きい。おもしろいのはカベルネで、ほわんほわんした消毒の風味がラフロイグのようになる。メルローはやや乾いた森の土っぽさが出る。KDさん曰く黒トリュフ!

  
「とうもろこし」出汁。とうもろこしの出汁は芯から取ったもの。平均ではリースリング、シャルドネの順番に相性がよい結果になった。リースリングと合わせると最初は変化ないが後から紅茶が膨らむ。紅茶の成分は澄んでいる。シャルドネはミネラルと旨味、トウモロコシの味わいが出る。それ以外のワインは水っぽくなる。

  
「あさり」出汁。これも平均ではリースリング、シャルドネの順番に相性がよい結果になった。また、カベルネ、メルロー、ピノは評価3点以下で相性が悪い結果になっている。リースリングと合わせるとコクのある紅茶が出て厚みも持つ。これ以外は高野豆腐が表に出たり、ワインの味わいを薄く感じる。

探究する会はここで終了。この後は出汁を使った料理との食事会。
  
  
  
料理の数々。

  
全体を通してリースリングが一番合っていたので、よいリースリングを1本追加。

・Egon Muller Scharzhofberger Kabinet 2007(エゴン・ミュラー シャルツホフベルガー・カビネット)-Mosel-Saar-Ruwer
やはりきれいな酸と味わいのエゴン・ミュラー。リンゴの酸味はシャープで、トロミを持つ旨味は果実を凝縮した甘さだが酸味がしっかり基底にあるのですっきりもしている。このカビネットは大根とすごく合う。美しいラムネや小さい黄色や白い花の要素が高いトーンを中心で広がる。この組み合わせはもっともよく点数をつけると「5」だが、①のロレンツと比べると色んな食材や出汁との相性がよい。

  
  
・Domaine Jean Fournier Marsannay Les Longeroies 2009(ドメーヌ・ジャン・フルニエ マルサネ・レ・ロンジュロワ)
すっきりした味わいなのにコクがある。旨味が強い。

  
・Hospices de Beaune Beaune 1er Cru Cuvée Guigone de Salins 2002 /C.et J.-F. Mouchonnat(オスピス・ド・ボーヌ キュヴェ・ギゴーヌ・ド・サラン)
パーンと香りが平面状に弾け、すぐ奥からレモンなどの高いトーンが出てくる。口に含むと黒い球が口奥へと力強くグーンっと進み、その周囲では旨味と酸味が広がる。濃い味わいで熟成感もある。グーンと沈み込み感じにやや燻った焚き火の香りも混じる。梅ジソの特にシソの風味が強い。

  
本日のラインナップ。キュヴェ・サン・チュルバンは2本出て合計9本。過去にの傾向と同様に比較的リースリングの相性がよかった。特に紅茶の風味に変化するところはコンドリュっぽさも出て好きなところ。楽しい探究会でした。

ワイン専門平野弥
横浜市都筑区荏田南町4212-1 045-915-6767 13:00-19:00 月火休