2013年12月21日土曜日

ワインと食事のマリアージュを探究する会(最終回) 2013年12月

 
平野弥と同等の品質でイタリアワインを輸入されているインポーターさんが見つかったということで、今回の「ワインと食事のマリアージュ探究する会」はイタリアワインとイタリア料理がテーマになった。しかも最終回!食材は秋の食材で茸を使ったお料理。


まずは余興。メンバの方が「ワインの酸化と熱劣化を同じように取り扱っている」というどこかのコラムに疑問を持ち、熱劣化の実験をしてくれていました。理系の見方をするとこれらは現象が異なり、経験でも香りや味に違いがある。実験は真空パックされた空輸のボジョレーを40℃1時間に放置したものと比較。

J.P. Chenet Beaujolais Nouveau 2013(J.P.シェネ ボジョレー・ヌーヴォー)
①通常品 香りあるがもったりしているがフレッシュさもある。味わいはガメイ種と乳酸発酵によるボジョレーヌーヴォーらしいキャンディの甘さの後に苦味が出てくる。
②40℃品 香りはほとんどしない。キャンディらしさは弱く苦味は増え、もったりした甘味が舌に残る。酸の質は変わらない。
やはり熱によって香りの高い成分が飛び、糖分が重くなり、苦味成分が出てくる。空輸品だがすでに①の段階で熱劣化は少しある。準備も必要で気合入れないと出来ないので、おもしろい実験ありがとうございます。※そう言えば、酸化と熱劣化の比較になってませんがよかったでしょうか。


ここからが本番。今回お試しするイタリアワイン24種類はすべてAVICO(アビコ)さんの輸入品。


Terra di Vini Trebbiano d'Abruzzo "Le Monge" 2012(テッラ・ディ・ヴィーニ トレッビアーノ・ダブルッツォ ル・モンジェ)
ダンボールなどくもりのある香り。香りに酸もある。口に含むともったりした甘さが先端丸くまったりと口奥へと進み、酸味はそのまったりを突き抜けて尖がるようにさらに口奥へと進む。口奥上方へホップするような柑橘系の高いトーンがあり、苦味もあるが苦味は果実由来っぽい。グリーン系の香りと味わいが独特でおもしろい。定価1800円ぐらい、トレッビアーノ85% シャルドネ15%。


トマトと豆の料理。


Cantina Aldeno Muller Thurgau 2011(アルデーノ ミュラー・トゥルガウ)
甘さが強くグリーン系もある香り。スワリングでグリーン系が強く発つ。若草っぽさにダンボールの煙い感じが加わる。口に含むとオイリーでトロミはないが舌にトロリと膜状にのる。酸はあるがトロミのある甘味の中にないほうされていて表に出ない。定価2400円ぐらい。


Tenuta Aurelia Corte Marzago Custoza "La Soldannella" 2011(テヌータ・アウレリア コルテ・マルツァゴ・クストーザ ラ・ソルダネッラ)
前者と同じ系統の香りで、それに氷砂糖のような香りが加わる。味わいはトロリとした甘味で酸味がきれいに広がる。後半には苦味がある。定価2600円ぐらい。


タコのカルパッチョ


Barbi Orvieto Classico Secco 2012(バルビ オルヴィエート・クラシコ・セッコ)
甘さが強い香りで葡萄そのものの糖度がとても高いように感じる。味わいは苦味が主体で酸味はキラキラと瞬き、それらを内包するように果実味が包み込む。定価2500円ぐらい。


Podere Santa Lucia Verdicchio dei Castelli di Jesi "Fonte della Romita" 2011(ポデーレ・サンタ・ルチア ヴェルディッキオ・ディ・カステッリ・ディ・ジェズィ "フォンテ デッラ ロミダ")
お菓子のラムネの香りがある。スーっと香りに流れとつなぎ目のないスムーズなワインらしいいい香り。前記までのワインは酸味や甘味に時間差があったが、これは初めて同時にやってくる。果実の苦味が味わい全体を支配するが、ふぁぁっと上方に向かって酸味が瞬間的に広がる。余韻に行く途中の味わいの後半で広がりは落ちるが、酸味はそのまま伸びていく。定価2900円ぐらい。


Az.Agr.Nicola Bergaglio Gavi del Comune di Gavi "Minaia" 2012(ニコラ・ベルガリオ ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・ガヴィ "ミナイア")
前者と同じ系統の香り。酸が先に来て果実味が少しあり、果実の苦味がその後に出てくる。酸がぶわんぶわんと波動を持って進んでくるところが特徴。定価3150円。


Tenuta Isimbarda Verduzzo Frizzante NV(イジンバルダ ヴェルドゥツォ・フリザンテ)
微発泡で舌にビリビリする。さっぱりしてバランスいい。定価1800円ぐらい。白ワインとして出されたが実はスパークリングだった。


Tenuta Isimbarda Riesling "Vigna Martina" 2011(イジンバルダ リースリング "ヴィーニャ・マルティナ")
リースリングらしい香りでダンボールも少しある。舌にまったりとのり、マヨネーズの風味、酸味も少しある。果実味と酸味のバランスがいい。熱が少し入っているようにも感じる。定価3300円ぐらい。


Az.Agr.VisAmoris Pigato Vigna Dome 2011(ヴィサモリス ピガート・ヴィーニャ・ドメ)
濁りのある色合い。マヨネーズ香がゆっくりと立ち昇り、スワリングでグリーン系の香りが立つ。味わいは青く、薄い層で舌に味はのらない。定価3500円ぐらい。


Weingut Niklas Justinus Kerner 2012(ニクラス ジュスティヌス・ケルネル)
ケルナーらしいお菓子のラムネ香りが広がる。やさしくユーカリも香る。味わいはさっぱりすっきりしている。定価3800円ぐらい。おいしいが2500円ぐらいの感覚なので高く感じる。


Apollonia Casa Vinicola Compagnia Vignaioli 2011(アポッロニーオ・カーサ・ヴィニコラ コンパニア・ヴィナイオーリ)
やさしい果実の甘さを感じさせる香り。味わいは薬っぽい苦味が主体。一般的な明るいイメージのイタリアワインらしいバランスの旨味がある。品種かもしれないが熱劣化っぽい苦味がある。定価1680円ぐらい。


Terra di Vini Montepulciano d'Abruzzo "Le Monge" 2012(テッラ・ディ・ヴィーニ モンテプルチアーノ・ダブルッツォ ル・モンジェ)
イタリアワインらしい色合い。クランベリーなどの酸のある果実の香り。味わいは薬っぽさと苦味が主体で果実味もそれに加わる。好みではない。


Anzivino Viticoltori in Gattinara Caplenga 2009(アンツィヴィーノ カプレンガ)
香りは弱い。味わいはさっぱりして樹脂の風味、干しブドウの風味が加わる。定価は2500円ぐらいだが、感覚では1200円ぐらい。


Fattoria di Petroio Poggio al Mandorlo 2010(ファットリア・ディ・ペトロイオ ポッジョ・アル・マンドルロ)
果実に血のようなにおいが混じる。味わいは果実の苦味が軸となり、その周りに果実味がいる。定価2500円ぐらい。


きびなごのフリットとパスタ2種類。


Castello di Luzzano Bonarda "Carlino" 2011(カステッロ・ディ・ルッツァーノ)
香りが強い。味わいにはやさしく自然な赤糖が加わり、旨味もある。枯れ葉の風味や干しブドウの風味もある。おいしい。定価で3300円ぐらい。◎


Casa Brancaia Valpolicella Classico Suoeriore 2011(カーサ・ブランカイア ブランカイア トレ)
ブルゴーニュっぽい香りがある。ベリーと少しの枯れ葉に獣臭も加わる。味わいも同じ風味で戻り香にバラの香りがある。ここまでの中で一番よい。しかし、定価3800円ぐらいなので本場ブルゴーニュのジャン・フルニエなどが購入できてしまう。△


Monte Santoccio Valpolicella Classico Superiore 2012(モンテ・サントッチョ ヴァルポ利チェッラ・クラシコ・スペリオーレ)
明るくいい色合い。香りの明るく軽くいわゆるイタリアワインらしい。味わいのバランスがいい。定価で3800円ぐらいで味わいはよいが高めに感じる。


Anzivino Viticoltori Gattinara 2007(アンツィヴィーノ ガッティナラ)
グーッと訴えてくる香りの成分がある。濃い味わいで、舌に酸味があり、タンニンが豊富。干しブドウなどもある。ポテンシャルはあると思うが苦味ある。定価4500円ぐらい。


Balgera Valtellina Superiore Sassella Riserva 2000(バルジェラ ヴァルテッリンーナ・スペリオーレ・サッセラ・レゼルヴァ)
香りは弱いが枯れ葉などもありブルゴーニュっぽい要素もある。バランスもいい。定価4500円だが苦味があり高めに感じる。


Az.Vitivinicola Guido Marsella Fiano di Avellino 2011(グイド・マルセッラ フィアーノ・ディ・アベリーノ)
くもりのある香り。味わいは甘さがあり、ミネラルは張り、酸味はオブラートに包まれたようになっている。リンゴの芯にある苦味成分が強い。全体のバランスがいい。定価5000円ぐらい。


Tenuta Aurelia Corte Marzago Bardolino "La Morara" 2011(テヌータ・アウレリア コルテ・マルツァゴ・バルドリーノ ラ・モララ)
甘いキャンディーの香り。味わいは薄いが果実味と苦味があり、マヨネーズの風味もある。定価2500円ぐらいで、価格帯があがったワインの後になってしまったので少し不利な評価になってしまう。


Attilio Contini Componidori Vernaccia di Oristano 2002(アッティリオ・コンティニ コンポニドリ・ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ)
ブランデーも入ったような濃く熟成した色合い。酸化したシェリー香、すっぱい香り。味わいもシェリー。紹興酒の雰囲気があるので中華と合いそうな味わい。シェリーとしては酸味もしっかりとしているのでおいしい。定価で1800円ぐらい。


Az.Agr Venturini Baldini Reggiano Lambrusco NV(ヴェントゥリーニ・バルディーニ レッジャーノ・ランブルスコ)
赤のスパークリング。かっぱえびせん。塩と甲殻類にカレー成分も入った香り。塩味が全体へばらつきなくきれいに入り、旨味がある。この旨味もきれいでおいしい。定価で3000円ぐらい。△


Tenuta Isimbarda Prosecco Extra Dry NV(イジンバルダ プロセッコ・エクストラ・ドライ)
プロセッコらしい華やかな広がりある香り。甘く果実香の成分が多い。酸味がしっかりあり、アンズの風味、リンゴの風味に加えてリンゴの芯にある苦味もある。


Jean Fournier Marsannay Rouge es chezots 2011(ジャン・フルニエ マルサネ・ルージュ エシェゾー)
テラスから室内に入り、こちらのブルゴーニュを追加。こじんまりしているがカチっとした味わい。かわいくまとまっている。香りはさすがブルゴーニュでキュートで華やか。
エチケットにある畑名がかわいい印象を受けたが、以前の「Les Echezots」から先頭のLとEが消えて「es chezots}になっている。

  
いっぱい飲ませていただきました。ご馳走様でした。本日の中では、深みがあり価格に見合っているクロアティーナが一番よかった。次はブルゴーニュっぽいブランカイア・トレ、そしてチーズのような名前だが特徴あるポテンシャルを持つレッジャーノ・ランブルスコ。イタリアワインはフランスワインと香りや味で比べて1.5倍から2倍ぐらいの価格設定だといつも感じているが今回も同じ。これであれば好みとコストパフォーマンスからブルゴーニュを選択してしまう。

ワイン専門平野弥
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