2014年7月13日日曜日

フィリップ・パカレ2012年 水平試飲会(非公開)

  
いつもながら勢いで突然決まり、直前に召集がかかるお試し試飲会。今回はブルゴーニュの自然派で有名なフィリップ・パカレさん。輸入は野村ユニソンさん。
全31アイテムのうち欠品1アイテムを除いた30アイテムが勢ぞろい。その中から参加者の希望を聞いて開けるワインを決めた。私の希望はパカレで印象深いムルソーとピュリニーモンラッシェ、ポマールの3アイテム。

  
Monthelie 1er Cru Clos Gauthey 2012(モンテリー コウロ・ゴティ)@7400税抜
ミネラルの張る香り。尖った鋭さはないが、かなり高い柑橘要素のトーンにシャープさがある。舌にも美しく、果実の旨味が豊富。ベタツキのない上澄み部分のトロピカルフルーツにライム、レモンがあり、花の蜜と少しの蜂蜜も加わり、コッテリしているが爽やかが同居する。グレープフルーツの酸味の階調がかなり高く、飲んでいると香水のような香りも混じる。少し経つとバレンシアオレンジや酸度の高いオレンジの味わいが出てくる。味わいの広がり方はパーっと平面状に広がった後、力強さがその平面の中央上方へぽわんと出てくる。最初は果実の凝縮感が強いが、どんどん澄んできて爽やかな印象になる。強いエネルギーは感じないが清々しく透明感もありおいしい。
この後も各銘柄を飲んでいくが、総じて、ドメーヌ・ルロワかドーブネのどちらかのスタイルになっている。モンテリーはドーヴネタイプ。

  
Meursault 2012(ムルソー) @8800税抜
色が濃くなった。ドーヴネのような香り。栗の実と甘皮、それにパーマ液、花とフルーツが凝縮しているときの香り。ミネラルもすごく強く、塩、焼けた香りも出ている。舌には液体が動かないぐらいトロミがあり、栗の風味や旨味が豊富。栗のほっこりした旨味、マロングラッセ、蒸かした風味がすごい。飲み込んだ後に栗のいい風味が膨らむ。塩味、甲殻類、グレープフルーツ、それにミネラルが豊富に詰まった球体となっているが、表面はミネラルの硬さはなく、薄い層だが柔らかさがある。味わいの広がり方は、丸さを持ったエネルギーが口の奥方向へと進み、味わいの後半からミネラルが豊富に伸びていく。重量感、ボディがあり、和三盆のようなやさしい甘味がある。おいしい。完全なドーヴネスタイル。ドーヴネよりオレンジなど柑橘果実の高い成分がバランスとして多いので、ドーヴネより開放感がありこちらの方が幅広い人が楽しめそう。

  
Chablis 1er Cru Beauroy 2012(シャブリ クリュ・ボーロワ) @7700税抜
香りの傾向は同じ。ミネラル香の量が多く、水平に広がる分と垂直に立ち上がる要素がある。垂直分には柑橘の高いトーンがあり、メンソール、ミントなどのハーブも加わる。舌にはさっぱりしているが、果実のこってりさもある。舌には果実味が丸く包み込むようにしているのでやさしく、その周囲でピカッとグレープフルーツの酸味が光、同じくグレープフルーツの甘皮の苦味が出てくる。これは透明感あるルロワスタイル。おいしいがムルソーがコテコテまではいかないがコッテリタイプなので、シャブリはやや薄く感じてしまう。

  
ビーツのサラダ。パテとパン。ローストビーフとトマト。

  
Puligny Montrachet 2012(ピュリニー・モンラッシェ) @9100税抜
きれい、ミネラル、メンソール、香りの要素が上方へとどんどん立ち昇り、4cmぐらい太い柱として中実に立つ。ミネラルと酸が立ち昇り、周囲にはグレープフルーツや少しのオレンジが周囲にふんわりと香る。舌には丸くのったかと思うと、味わいが舌にグーンと沈み込む。その後、そよ風のように数本の線を描くように軽やかに味わいは上方へと風になびいて流れていく。味わいは硬水に澄まし汁のように味わいが乗ってくる。舌で転がすと粘度があがり、グレープフルーツの風味と旨味が出くる。味わいの途中ではヨーグルト風味も顔を出す。これは澄んだ味わいでルロワスタイル。

  
酸味の利いた炒め物。有機野菜のサラダ。金陵の皮付き豚とアヒル。

  
Bourgogne Rouge 2012(ブルゴーニュ・ルージュ) @5400税抜
特別キュヴェ。いわゆる自然派らしい、ほわんとした香り。やさしくも杉がある。澄まし汁の奥に出汁の香りがあり、表面には紫蘇がない梅、イカの燻製、塩辛、柑橘果実の高いトーンが香り、さらにフランボワーズ、少しのブルーベリーとクランベリーなどベリー類も加わる。舌には味わいが澄んでいて、ベリーの濃さがありつつ、酸度が高く舌を刺激する。薄く旨味もある。少し時間が経つと、香りに濃いインクっぽさも出るが、でも澄んでいて、1cmぐらいの厚みを持ったベリーの果実香が平面状にやさしく甘く香る。ユーカリにクリアな赤果実も香る。さらにグラスで放置すると、紅茶の茶葉アッサムが出て、茶葉の甘い香りも加わり、酸味がクリアできれいなのでかわいくキュートな香りになる。香りや味わいの佇まいや香りや味わいの変化の大きさや早さは自然派らしいワイン。ドーヴネタイプ。

  
Pommard 2012(ポマール) @7000税抜
ポマールらしくフローラルな香り。黄色や赤色の花々が忠実で中央に軸があるように香り、周囲にはフランボワーズなど赤果実の甘さがある。スワリングでミネラルと塩が平面に広がり、垂直にも香りの要素が立ち昇る。口に含んでも舌にはのらず5cmぐらいの球体が柔らかく舌を滑るようにスーっと口奥へと球体のまま進んでいく。澄まし汁のような旨さ、やさしく柔らかい味わい。

  
Gevrey Chambertin 2012(ジュヴレ・シャンベルタン) @7000税抜
すごい中実で黒さのある軸があり、澄んだいい香り。訴えてくる香り。味わいは舌にのらずに浮いている。酸味が内包され、薄い果実味で包んでいる。攻撃的でなく、鉄分は豊富で、澄んでいて、赤果実のいい風味。広がり方はクリアにパーっと広がる。

  コロッケ

  
Bourgogne Aligote 2012(ブルゴーニュ・アリゴテ) @5400税抜
このあたりで、ドーヴネやルロワのどちらかの傾向があるという話になった。ドーヴネのアリゴテは品種を超えたすごさを持つが、パカレのアリゴテはドーヴネスタイルか確認するため予定外だが投入。軽やかでルロワタイプ。龍角散の香りにミネラルが張り、奥に栗があり、笹のような青さがある。稚鮎に合いそうという意見が多かった。舌には果実の酸味が立ち、そこから上方に立ち昇る。きれいでクリアな味わい。

次に左岸と右岸を比較するため、ラヴォー・サン・ジャックとリュショット・シャンベルタン。

  
Geverey Chambertin 1er Cru Lavaux St.Jacques 2012(ジュヴレ・シャンベルタン ラヴォー・サン・ジャック) @12500税抜
左岸のラヴォー・サン・ジャック。10cmから15cmの大きさを持つ柔らかい球体状の香りで、黄色い花が強く香る。枝の香りもあり、それらは独立せずにいい具合に混じりあっている。舌からは味わいの球体が浮いていて酸味が多く、タンニンはやや粗めで豊富。イチゴやラズベリー、桑の実。桑の実の味わいやタンニンの粗さは左岸の特徴だそうです。稲穂のような形で根元はしっかりした味わいで、それがすぅっと綺麗に先端まで細く長く伸びる。全体が一体感あり、ボリュームもある。時間が経つと甲殻類と塩が出てきてかっぱえびせんの風味もあり、赤果実の酸味がパーっと広がる。時間が経つと氷砂糖、紅茶のアッサム、香水のような香りが出てくる。ルーミエやデュガと共通するジュヴシャンらしい透明感あるルビー色のゼラチンが思い浮かぶクリアさがある。クリアなルロワタイプ。

  
Ruchottes Chambertin 2012(リュショット・シャンベルタン) @27700税抜
右岸のリュショット。石灰の柔らかい香りで枝の香りも入る。強く訴えてくるのではなく、やさしく柔らかく包み込んでくれるようないい香り。甲殻類と塩、かっぱえびせん、鉱物の香り。和三盆、花々、花畑など香りの要素がすごい。酸味が豊富でタンニンはラヴォーよりもさらに豊富。塩味と酸味、押して来ないがエネルギーが柔らかく集中して、味わいの口当たりがやさしく柔らかい。硬水、香水がピカーっと夜空への光線のように一直線の伸びて光る。時間が経つと干しぶどう、紅茶の香り、梅が多い梅ジソが出てくる。これもルロワタイプだが、ラヴォー・サン・ジャックとタイプが異なりおもしろい。

  
Bourgogne Rouge V.V. 2012(ブルゴーニュ・ルージュ ヴィエイユ・ヴィーニュ) @7000税抜
赤はブルゴーニュ・ルージュ以外はルロワタイプだった。ブルゴーニュ・ルージュは本数が少ない特別キュヴェ。収量などを考えても特別キュヴェが本来の自然派でドーヴネタイプではないかということで、検証のためにV.V.を抜栓。
ビオな香りが柔らかく発つ。ドーヴネっぽい香り。枝、柔らかい香りの赤果実、塩の香りがやはり強くある。ミネラルがパーンときれいに透明感ある香り。味わいは素直でピュアな味わい。素直に口奥へと口が喜ぶように果実の甘さを感じさせながら流れていき、その流れの中から朝方の川のように上方へと朝靄のように味わいがふわーっと昇華していく。ドーヴネタイプ。


[写真撮り忘れ]
Bonnes Mares 2012(ボンヌ・マール) @42500税抜
参加者の意見が合致して、同じく特別キュヴェの最高峰ボンヌ・マールを開けることになった。
塩が強く、ムレた感じがドーヴネらしい。バラ、牡丹、酒質が強い。口全体に柔らかく、やさしく、それでも主張する。ミネラルがすごく張り、枝や少しのオレンジがあり、きれいな香水が爆発。ミネラル、塩、酸味が融合し、旨味が多く、クリアに訴えてくる。全体を通してクリア。そして表面にはやさしさと柔らかさがある。

  
京都西陣 OAHU オアフロール

  
本日のラインアップ。参加者7名+平野さんで13本。

久しぶりにおいしく飲めた試飲会。フィリップ・パカレと輸入状態の良さで銘柄の特徴が表現されていてよかった。どれもおいしかったので、あとは好みや価格などで考えるぐらい。個人的にはフィリップ・パカレは元々ムルソーが好みで、今回も個性があってよかった。パカレさんのムルソーはプルミエになると要素が濃くなり洗練さが増すので、村名の方が個性的でおもしろい。ポマールは今回飲まなかったプルミエの方がもっと花々の広がりがあって楽しめそう。左岸と右岸の比較もおもしろかった。食事もおいしかったです。皆様、ごちそうさまでした。