2012年6月16日土曜日

ブラインドによるワインテイスティング講座  2012年6月

  
毎月恒例のワイン専門平野弥さん主催のワインブラインドテイスティング講座。今月のテーマは非公開。天気はあいにくの雨。

最初の2本
  
・Cordier Pere et Fils Saint Veran En Faux 2010(コルディエ サン・ヴェラン・アン・フォー)
シャーベットのような鋭さもある薄い黄色で煌びやかさもある表面。香りは糖蜜、水に薄めた蜜、コクのある栗の甘さ、冷涼さとオレンジ色のフルーツなどがあり、後からおしろいや菩提樹の花が香る。口に含むときれいで細やかな酸味が舌全体にあり、トロミも少しある。糖蜜、グレープフルーツと少しのオレンジの果実と少しの果実の皮の苦味がバランス取れている。層状のものがふぁーっと自然に昇っていく。後半には舌に味がしばらくいて、甘味は舌に残り、消えるように広がる。ミネラルと柑橘系の酸味が混じっている。

・Cordier Pere et Fils Pouilly Fuisse Vieilles Vingne 2010(コルディエ プイィ・フュイッセ ヴィエイユ・ヴィーニュ)
色は前者に近いが赤みとオレンジが入り、前者よりも濃い色合い。レモン、ライムが静かに香る。それにおしろいが入り、白い花、菩提樹の花が加わる。スワリングすると奥から果実の華やかさが出てくるがすぐに引っ込む。口に含むと甘味があり、舌に丸く当たり、柑橘果実の酸味が後からピリピリとくる。果実の丸い甘味のボリュームが横に5cmぐらいの楕円状にいて、そこから全方向にふぁーっと味わいが広がる。グレープフルーツなどの果実、柑橘果実、などのバランスが前者同様によい。前者よりもすべての要素が濃く、味わいが集中している。その集中した味わいがグーンと力強く後頭部の方向へ進んでいく。前者よりも上質。

スタイルはかなり近く、要素の多さや強さが後者の方が強いので、同一生産者、同一ヴィンテージで格違いと推測。生産者はコルディエで正解。両方ともにマコンの村名だが、価格は後者の方が高いので格違いというのと大体正解。

2回目
  
・Casafrassi Chianti Clasico 2004(カーザフラッシ キャンティ・クラシコ)
外観は赤紫で透明感あるがくすみもある。香りは高いトーンの赤果実、チェリー、中低域の赤黒果実、プラムが落ち着きを持って香る。黒く小さな核もあり、赤砂糖も香る。口に含むとやや落ち着きのある果実。赤果実の酸味で酸は多く、白い何かが中央からファっとよぎる。アルコールは高めで顔を真っ二つにされるようにパーっと縦方向に味が広がり、グーっと上顎奥へ果実味が集まる。落ち着きのある明るめのトーンの味わい。これ以外にスパイスも少しあり、酸と果実は同時に進む。乳酸っぽさがある。

・Casafrassi Clasico Riserva Cavasonno 2004(カーザフラッシ キャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ カヴァソンノ)
黒さが強く、赤や紫も黒が入った色合い。独特な香りで焼酎の甕作りや、朽ちた樹、樹のエキス、洋酒、古い大樽を想像させる香り。醤油も少しある。口に含むとタンニンは多いが細やかで、口の中がタンニンでシワシワになる。樹脂の風味があり、味わいは舌に多くが残り、濃いが軽くすぐにすっとなくなる。後半は舌の中央に黒く低く沈み込むように黒い果実味がきて、上顎中央に果実の皮の苦味が集まる。アタックは柔らかく酸がすごく素直に伸びる。乳酸っぽさが前者よりも強め。要素は前者よりも多い。

前者と比べると後者は1.5段ぐらい格が上の味わい。前者はお手軽な安いボルドーっぽさの印象も受ける。正解は格違い。かなりスタイルが違うので生産者も違うかと思ったが同じだった。品種は前者がサンジョベーゼ100%、後者はサンジョベーゼ90%、メルロー10%。人によって区別の仕方や感じ方は異なるが、サンジョベーゼはカブトムシなどの虫の香りがあるそうで、言われているとそういう香りの要素もある。後者のレゼルヴァは香りを気にしなければ味はいい。

3回目
  
・Domaine Rene Bouvier Marsannay Longeroies 2009(ドメーヌ・ルネ・ブーヴィエ マルサネ・ロンジュロワ)
明るい色合い。透明感あるルビー。香りは獣臭、赤果実の甘さに栗の皮が入る。パーマ液が少しあり、黒いイメージもあるが全体は明るい高いトーン。赤果実の酸にきれいに甘さがのる香り。口に含むと果実の素直な甘味、酸味が舌先にピリピリし、旨味がグーっとくる。いい風味の甘さや旨味。いい旨味が果実、料理のように一体となってホワンと柔らかくやさしく膨らむ。グーンとゆっくりと後頭部後方に少し上昇しながら味わいが伸びていく。

・Domaine Jean Fournier Marsannay Les Longeroies 2009(ドメーヌ・ジャン・フルニエ マルサネ・レ・ロンジュロワ)
前者と似た色合いだがこちらの方が透明度高い。香りは落ち着きあり、要素は前者と似ていて中域から高いトーンが少し異なり、冷涼さと少しのキャラメル、紅茶が香る。口に含むと果実の酸味が先に進み、フレッシュな果実が寄り添う。タンニンは少し多め。軽いが果実の皮の苦味が別にいる。梅ジソの風味もあり、時間が経つと酸味がグーっと力強く押し寄せてくる。

この2つはかなり似ている。前者がフレッシュでやさしい甘味と力強い一体感が特徴なのに対して、後者は少しもったりしている。同等の品質で前者のほわんとした甘味の方が好み。この2本は同一ヴィンテージ、同一畑名で、生産者違いというものだった。かなり似ていて、両方の生産者のレベルも同等ということが分かる。おもしろい。

ここで食事の準備。
  
  
  
  
 

  
・Alain Coche-Bizouard Meursault Les Chevalieres 1985(アラン・コシュ・ビズアール ムルソー・レ・シュヴァリエール)
澄んでいて旨味がたっぷり。肌理が細かいタンニンもある。前回のムルソー1976と比べると若い味わいだが十分に熟成しておいしい。

  
・機山洋酒工業 キザン赤 2009
本日は魚を準備するということだったのでこちらを持ち込んだ。キザン白やシャルドネは刺身などと合うことは確認しており、赤でもいけるのではないかとお試し。色は白が入った独特な濃い紫に紅が加わり、香りはベリーとフレッシュな果実。味はフレッシュな赤果実の酸味が進む。さっぱりしてすっきりした味わい。澄んだ酸味とフランスとは違う旨味が特徴。
一応ブラインドにしたので、ラングドックなどの意見も出たが日本で正解。アン肝と合わせると甘味が密度は変わらずに2倍ぐらいに膨らみ、旨味もそれにのっかる。相性はいいと思うが、平野さんは醤油と合わないとのこと。

食事との相性を試ししたのは次のような感じだった。魚のフライは、ルネ・ブーヴィエと別々。ジャン・フルニエは魚臭くなるので×。あん肝は、アラン・コシュでは生臭い。キザン赤は◎。皮付き豚肉はアラン・コシュ、キザンともに○。ブラウニーは、カーザフラッシのキャンティとでショコラのボリュームが増し、ナッツが広がって○。カーザフラッシのレゼルヴァとは△。アラン・コシュと○。キザンとだとチョコの風味が強くなりすぎて△。海老はアラン・コシュとで×、キザンは△。マリネはアラン・コシュだと臭みが出て×、キザンは△。ブルーチーズはコルディエ2本とも別々で△。アラン・コシュだと臭みが出て×。味噌漬け肉はコルディエのプイィ・フュイッセと×、カーザフラッシは2本とも×だった。

  
本日のラインナップ+α。

  
・Casafrassi Rosso di Toscana - Monsanese(カーザフラッシ ロッソ・ディ・トスカーナ モンサネーゼ)
お開きになった後に追加であけてみた1本。さっぱりして飲みやすい。一番下のクラスでキャンティ・クラッシコでもないが、バランス取れている。

本日もおいしいワイン、料理ありがとうございました。同一生産者の村違い、同一生産者の格違い、同一畑の異なる生産者という難しいテーマだったがおもしろかった。

ワイン専門平野弥
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